江戸の暮らしから学ぶ、洗剤の話

汚れを落とす方法は2種類ある

わたしたちが普段使っている洗剤は界面活性剤といって、ざっくりいうと油汚れを取り囲み、水へ引っ張って繊維から離すという仕組みで汚れを落としています。
もうひとつ汚れを落とす方法があり、最近流行っている重曹やクエン酸を使った洗浄方法です。これは、汚れのpH値を知り、それを中性に近づけることで汚れを溶かす方法です。
例えば、酸性の汚れは油汚れ、皮脂汚れなど(の他、大体の汚れ)がありますが、これにはアルカリ性である重曹やセスキが使用されます。アルカリ性の汚れには水垢や尿石があり、これには酸性のクエン酸が使われます。有名どころではトイレ掃除に使われるサンポールが酸性です。

江戸時代の洗濯や食器洗い

石鹸が日本に入ってきたのは戦国時代と言われていますが、庶民が石鹸を使い出すのは、まだまだ先のことでした。それ以前はどんなもので衣類を洗っていたかというと、天然の洗剤・無患子(ムクロジ)や灰汁で洗浄していたようです。無患子は、天然のサポニンが多く、石鹸と同様に泡立つので洗浄効果があるようです。また灰汁はアルカリ性なので、皮脂汚れなどの酸性汚れを落とすのに適していたようです。この他、米のとぎ汁やヌカ、酢漿(カタバミ)の汁なども使われていたようですが、洗濯自体の頻度は低かったようです。
食器洗いは灰汁を主に使っていたようです。しかし、食器もまた洗う頻度は高くなかったようです。というのも江戸時代の前半は漆器を使っており、漆には殺菌効果があるので食事後に水で洗い、乾いた布で拭き取るだけでも十分だったようです。加えて現代と違って肉を食べなかったので、(魚も毎日食べられるわけではなかったようです)油汚れがほとんどつかない食生活で、基本的に水だけでも綺麗になりました。
ちなみに江戸時代のボディーソープは米糠でした。麻の袋に入った米糠で体を洗っていたようです。米糠は弱酸性くらいでしょうか。


洗剤もミニマムに

このように汚れと洗浄の仕組みを知っていると、無駄にたくさんの専用洗剤をもたなくてもシンプルに暮らしていけます。例えば、トイレ用洗剤、台所用洗剤、ガスコンロ周りの油用洗剤、風呂用洗剤、洗濯洗剤、、、あげるとキリがありません。こんなにたくさん持たなくても、この汚れには酸性、この汚れにはアルカリ性、と覚えておくと洗剤を断捨離できそうです。
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