江戸時代の仕事いろいろ
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国立国会図書館 『類聚近世風俗志 : 原名守貞漫稿』 |
江戸時代の江戸は大きく分けて、幕府や藩に仕えて俸禄(お給料)をもらう武士(サラリーマン)と、それ以外の町人に分かれていました。武士の中でも生活に困らないエリートもいたし、家族みんなで内職をしてやっと食べていける身分もいたそうです。町人は仕事も収入も様々で、鍛冶職人や塗師などの職人系から大店に務める奉公人、振り売りなどの行商人がいました。地方には農民や漁民が暮らしていました。
武士のサイドビジネス
さて、江戸時代の武士はお給料が足りない時どうしていたかというと、副業としてさまざまな内職をしていました。時代劇ドラマでよく出てくるのは傘張りです。当時の傘は紙でできていたのですが、これの骨組みにノリを塗って紙を貼るお仕事です。余談ですが、江戸時代は素晴らしいリサイクルシステムが整っていて、傘が壊れたりすれば、傘の骨を買い取ってくれる業者がおり、買い取った壊れた傘は、綺麗に紙を剥がして、骨も治して紙を張り替えて使っていました。剥がした紙も肉を包む紙として売られたそうです。その他の副業は朝顔を作ったり、鈴虫やこおろぎを育てたり、金魚の養殖を行っていたそうです。朝顔は品評会があり、珍しいものや美しいものはそれはそれは高く売れたそうです。金魚は金魚売りという行商がいて、江戸の庶民の夏には欠かせないものだったとか。
江戸庶民の面白い職業
江戸時代といえば三井越前屋(現在の三越)のような大店や、現在も日本橋にある鰹節問屋のにんべん、京からやってきた和菓子屋さんの虎屋が生まれたりしたものですが、最もおもしろいのは棒の両端に売り物を担いであるく振り売りです。シャボン玉売り、蝶々売り、紙でできた人形などの子供のおもちゃ売りや、野菜や魚、油などの生活必需品売り、暦売りや風鈴売りなどの季節限定のもの、紙屑買い、古傘買い、古碗買いなどの買取業などです。他にも貸本屋さん、下駄の歯を直す人、水道掃除の職人さんも歩いて商売をしていました。他にもたくさんのニッチな商売がたくさんあって楽しそう!
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国立国会図書館『類聚近世風俗志 : 原名守貞漫稿』 |
便利さと引き換えに
この時代は細々とした仕事がたくさんありました。スーパーマーケットなどはもちろん存在していません。たとえば、野菜は野菜売り、魚は魚売りがやっていた時代よりも、1店のスーパーで魚も肉も手に入るようになって、便利にはなりましたが働ける人数が減りました。直接お客様とやりとりができた時代は仕事も楽しかったかもしれないな、とか考えました。もちろん、現代の仕事もそれはそれで楽しさもあるかもしれません。でも、ちょっと江戸の職業の方が楽しそうです。
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